おりん書店

読んで良かった本をご紹介します。

テティスの逆鱗/唯川恵

唯川さんといえば恋愛小説、という認識でしたので恋愛小説から遠ざかった今唯川さんともご無沙汰だったのですね。
それが!気が向いたので久々に読んでみたらまぁビックリ!
とても良いではないですか~!
テティスの逆鱗/唯川恵
本作は、同じ美容整形クリニックに通う5人の女性の美への執念を描いたお話です。
これね、先の展開が全く読めなくて気になって気になって仕事どころではありませんでした!(笑)
どの女性の話も恐ろしいのですが、涼子の話が……。
整形を繰り返し、おかしな顔になっても更に自分の耳の形が亡くなった母親に似てると言われただけで
「耳を切り落として」と医師に依頼するくだりはもう戦慄しましたね!

夫の一言が原因で女性器を整形、もね……
絶対夫は大して考えずに言ってしまったと思うのですが……
そんな5者5様の狂気が詰まった作品です。

私が思うに、女性にとって美=自己肯定なのかなと。
だから、行きすぎた美容への執念やダイエットは単純に容姿だけの問題で済まない、
根っこが深いのでそこを直さないと終わりがないのですよね……

イヤミス好きならハマるでしょう!
是非一読あれ。

テティスの逆鱗 (文春文庫)

テティスの逆鱗 (文春文庫)

日本の女性がグローバル社会で戦う方法/谷本真由美

最近、でもないですけどハウスワイフ2.0とかLEAN INのように、
女性の生き方本が増えてますね。
日本の女性の社会進出が進んでいるなかで(?)うまくいっていないが故の需要なのかな、
という気がします。
 
諸外国と日本との女性を取り巻く労働状況の比較が多く出てくるのですが、
こうも違うのかと驚きの連続です。
特に衝撃だったのが、”男女格差が小さい国ランキング”。
日本は136カ国中105位。ちーん。。。。
アフリカよりも下。
もっと言うと、日本より低いって言ったら中東の産油国とか北アフリカとか。
女性は髪の毛見せちゃダメってところ。。。
日本って本当に先進国なのだろうか。。。(遠い目)
 
また、日本の政策っておかしなところだらけ!
女性の活用、とか少子化対策とか言ってるのに、
勤務時間に柔軟な会社でないと子供のお迎えにも行けない!
子供の預け先も無いのにど~~やって女性を活用するわけ?
いまや未婚男性のうち年収200万以下が半分弱を占めているのに、
経済的に不安な状況でど~やって「結婚して子供を沢山産もう♪」ってなるわけ?
サポートが手薄すぎでしょ!日本政府は本当にやる気があるのか甚だ疑問ですよ。
 
『日本の職場の多くは先進国なのにもかかわらず、あり得ない長さの長時間労働を「強制」するところが多く、
子育てをしながら働くことは無理なのです。
フランスをはじめイギリス、北欧諸国などでは、国力の下地となる出生率を確保するために、
子供がいる女性を支援する仕組みを整えてきました。
その結果は、国民の幸福度や出生率の高さなどとなって統計に表れているのです。』
現状少しずつ良くなってきたとはいえまだまだ出産・子育ての負担は女性に偏重していますよね。
会社も、勤務時間をフレックスにしてみたり、
ノー残業デーなんて甘いものではなく、毎日ノー残業にする仕組み作りや雰囲気をつくることが重要なのでは。
外資系企業みたいに、管理職が有休を強制的に取らせるとか!
産休が取れなかった時にキャリアが分断されるのも痛いですから何とかして欲しいですねー。
キャリアアップしたい女子には出産によるキャリア分断は大きなネックですよね。
 
”子供を持つ女性”にスポット当ててみましたけど、
相変わらず男性社会の中で生きづらい女性にとってタメになる、
これからの指標になるだろう話が盛りだくさん!
専業主婦願望ある子も考え直しちゃうかもね!?
是非一読あれ。

日本の女性がグローバル社会で戦う方法

日本の女性がグローバル社会で戦う方法

悪医/久坂部羊

またもや傑作。
やってくれます久坂部羊せんせい……!
どれもこれもが傑作揃いです。
『無痛』で初めて久坂部作品に触れ、大ショックを受けて貪るように著書をすべて読みました。
先生は現役の医師で、『医療の闇』をテーマにされています。
読めば激しく引きずり込まれる作品ばかり。
大好きな作家さんなのに、去年末に出た新作を知りませんでした!なんてこと!
期待を大きく上回る、大満足の作品でした!

『悪医/久坂部羊
患者・52歳男性。早期の胃がんの手術を受けるも再発・肝臓へ転移。
医師・35歳男性外科医。患者の手術を担当。
がん患者と医師の立場で交互に物語が進んでいきます。

医師からしたら、打てる手は尽くした。
治療を続けても副作用の苦しみが回復より上回る、
更に寿命を短くするだけ。
だから残りの時間を苦しむことに終始させるのではなく
まだ体力のあるうちに治療を打ちきり有意義に過ごした方がいいだろうと思う。

患者は、治療を打ちきると言われることは、
死ねと言われることと同じこと。
まだ出来る方法があるなら治療を続けてほしいと思う。

この溝。
非常に難しい……。
医師は、"どうして分かってもらえない!?"と伝え方に最後まで悩みます。
その道の権威に相談するも決定的な答えは出ず。
もし自分が手遅れのがんで、治療打ちきりを医師に言われるとき、
どう伝えて欲しいだろう?
そう思わずにはいられませんでした。
その後患者は、死にたくない一心で数々の病院を転々とします。
巡り巡って、最期に気付きを得るのです。

特筆すべきは久坂部作品はどれもそうですが、
表現力がずば抜けて優れているのです。
情景が目に浮かぶのです。
今回も終始、まるで映像を観ているような感覚でした。
患者の描写が非常にリアルで、まるで先生ががんにかかっているのでは!?という程。
壮絶。
よくぞここまで描ききったものです……!
文句なしにおすすめです!
是非一読あれ!

悪医

悪医

櫻子さんの足下には死体が埋まっている/太田紫織

いつだったか、百田尚樹先生が
『折角読むのだから気分が良くなるような本を読みたい』というような事を仰ってて、
それからは明らかなイヤミスや気分が悪くなりそうな本は読まなくなりました。
タイトルからして『死体かぁ~……』と思いましたが
(ライトノベルっぽいし)、
意外や意外、とても面白かったです!

『櫻子さんの足下には死体が埋まっている/太田紫織』

何より骨を愛する標本士のお嬢様・櫻子さんと、
普通の高校生が何故か行く先々で死体に遭遇し、
櫻子さんの名推理により解決!という短編シリーズです。
この、"強い女子とそれに引っ張られるなよっとした男子"ってありふれすぎているのですが、
"標本士"という設定が新鮮なものにしてますね~!
骨や人体にまつわる豆知識がちょこちょこ出てくるのもお勉強になります。

短編って面白いものに出会ったことがあまりないので、
好んで読んでこなかったのですが
本作は死体からの読み取り情報の多さや、
ほんわかしたり泣けたりと趣向が変わるので毎回楽しんで読めました。
キャラ読みが好きな人には特に気に入っていただけるのではないでしょうか♪

ぜひ一読あれ。

本当は危ない植物油-その毒性と環境ホルモン作用/奥山治美

今回ご紹介する本には、大変なショックを受けまして。

これは是非ともブログに書くべきだと思い読み終わってそのまま再読。

こんなことは本当に珍しい!

皆様の食生活に一石を投じられたら良いのですが・・・

『本当は危ない植物油-その毒性と環境ホルモン作用/奥山治美』

NGO日本食品油脂安全性協議会理事長の著者が植物油の危険性について

述べた本です。

怖い怖いと思って読み進めていました。

これを読んでしまったらもう、家にある植物油を一つ残らず捨てたくなりますよ!

(うちは全部ラードだけど♪)

さて、ヘルシーなイメージのある植物油ですが

実は分かっているだけでもこれだけの害があるんですね。

・カノーラ(菜種)油→有害因子、脳出血促進、腎障害、内分泌かく乱、行動変化

・パーム油、パーム核油→寿命短縮、発癌促進、高インスリン血症

・大豆油→リノール酸多すぎ。(多すぎると、癌や動脈硬化、アレルギー・炎症性の病気を促進)

・コーン油→有害因子、寿命短縮作用

・コメ油→リノール酸多すぎ

・ココナッツ油→有害因子

ゴマ油リノール酸多すぎ

・オリーブ油→発癌促進、脳出血促進

 さぁどうでしょうか。イメージが変わったのではないでしょうか。

また、一部の湯種ではダイオキシン以上に、強力な環境ホルモン作用を示すことが分かったそうです。

環境ホルモンは、性ホルモンを狂わせ精子を減らし、不妊を促進します。

「男(女)として生まれたのに女(男)であると自覚する」という性同一障害は、

胎児期や出生後の環境、とりわけあぶら食環境に影響されていることが有り得るのだそうです。

他にも沢山の害が上がっているのですが、驚いたのは

”植物油は食用としての安全性がいまだに認められていない”こと。

スーパーで売っている油の殆どが植物油なのに!?怖いですね~。

植物油の毒は、即効性はなく自覚症状も起きにくいです。

しかし、摂り続ければ長期間にわたり健康を蝕んでいきます。

油の中では動物性の油がオススメです。

魚の油、バター、ラードです。

これらは高い安全性が認められているそうですよ。

 

自分の健康管理には、”何を摂るか”も大事ですが、”何を摂らないか”も大事。

外食では難しいですが、せめて家では自衛しましょ!

しかし、現代の食環境は知れば知るほど乱れておりますね~。こわこわ。。。

是非一読あれ。

 

 

歯医者が虫歯を作ってる/長尾周格

目から鱗が落ちまくりました。
栄養に関する本は結構読んできました。
でも、食べ物が歯にもたらす影響については殆ど考えてきませんでした。
よく歯医者さんに通院してる方、必見です!
『歯医者が虫歯を作ってる/長尾周格』

人体は、主にたんぱく質と脂質で出来ている。
三大栄養素と言われる、炭水化物は
実は健康に生きていく上で不要どころか百害あって一利なしなのです。

現代では、そんな百害ある炭水化物で溢れかえっており、
なのに必要な栄養が欠損しがちです。
本書ではそんな食生活が及ぼす口腔内での悪影響が記してあります。
中でも驚いたのが、"歯並び・噛み合わせの異常(不正咬合)は栄養欠乏による上顎の成長不良"というところ。
しかも、それは不正咬合となった本人の栄養欠乏ではなく、
妊娠前の及び妊娠中の母親の栄養欠乏(そして恐らく父親の栄養状態も)といいますから、驚き。
生まれる前から歯並びの良し悪しが決まってしまうなんて!
妊婦の皆様、食生活に気が抜けませんよ!(旦那様もね!)
虫歯や歯周病の"根本的な"原因、予防法などもありますから、
できるだけ長く自分の歯を残せるように知識を付けてみてはいかがでしょうか。
是非一読あれ。

歯医者が虫歯を作ってる

歯医者が虫歯を作ってる

トッカン 特別国税徴収官/高殿円

今回の作品は、ドラマ化されたのでご存じの方も多いのでは!
井上真央ちゃん、北村有起哉さん主演で♪♪
ドラマも本当に良い出来!
キャストもピッタリで原作ファンも満足出来たであろう仕上がりでした!
トッカン 特別国税徴収官

徴収官は、税金滞納者に取立てをするのがお仕事です。
そのなかでもタチの悪いのを担当するのが特別国税徴収官(トッカン)。
そのトッカン・鏡の補佐をするのがグー子こと鈴宮深樹。
税金滞納にも色んな理由があり、払いたくても払えない人、
行政に対する不信から払わない人、色々です。
徴収官の仕事を描きながら、『仕事とは何か?』を問う内容になっています。

この作品の優れているところは、やはり登場人物の内面の深さを描ききっているところでしょう!
お仕事小説のなかでも、こんなに飾り気のない、人間味溢れる女子の主人公はなかなかいない!
ちょっとヘタレな女の子(でも普通にかわいい)なら、いくらでもいるのですが……
グー子は、読者に好かれるような子ではありません。
でも、自分では普通にしてる。
何で友達が出来ないのか、何もしてない子から目の敵にされるのかが分からない。
終盤に、思い知ってしまうのです。
自分の中の汚い部分と直面させられてしまったシーンは
自分と重ねてしまう読者もいるのではないでしょうか。

また、トッカンの鏡もキャラが立ってるんですねー!
デリカシー無視のズバズバ発言はいっそ爽やかです(笑)
後半に明かされる彼の過去は、重たすぎるけどそれがまた彼の人間性に深みを出しています。
読むにつれ好きになり、彼の行動をいつまでも見ていたい、と思うようになるでしょう!
ででっ!
終わりがね、またかわいーの!(о´∀`о)
実に微笑ましいラストです。
続編も早く読みたーい!
是非一読あれ!

トッカン―特別国税徴収官― (ハヤカワ文庫JA)

トッカン―特別国税徴収官― (ハヤカワ文庫JA)